このサイトは倉田タカシが制作・管理しています。
■抄訳・短篇訳あります。
本当にちょっとの分量ですが、ウォマック作品を当サイト管理人が勝手に訳したものがあります。
短篇「Audience」……… 全訳
短篇「Out of Sight, Out of Mind」……… 全訳
短篇「That old school tie」……… 全訳
長編「Ambient」……… 第一章、第二章
長編「Elvissey」……… 冒頭5ページ分、第2章の「テラプレーン」の人物が登場する場面
読んでみたい方がいらっしゃいましたら、メールでご連絡いただければ、pdfファイルをお送りします。
2002年現在、ウォマックの長編は7冊すべてが再版されていて、ネット書店などを通じて入手が可能です。それなりに評価も定まり、少なくはないファンを得て、当分、市場から消えてしまうおそれはないでしょう。…たぶん。
Webのでっかい大陸棚を底引き網でゴリゴリ浚るGoogle検索の威力で、このサイトは出来上がりました。探してみると、けっこうインタビューやらエッセイやらがありました。Q資料やグノーシスといった、まるで馴染みのない分野についても知識を深めることができました。ソースの信憑性はつねに問題ですが、ちょっと検索をかければワサワサと情報が手に入るお手軽さには、大いに助けられました。
インターネットって、ほんとに便利ですね(←前世紀人らしい感慨)。
そしてまた、ネットがあればこそ、海の向こうのこんなマイナーな作家でも、「謎の作家」などという陳腐な決まり文句の向こうに、ルーツと思想と文脈を伴った、あたりまえの作家としての姿を見ることが出来るわけで。まあ、そんな情報は作品を読む上では邪魔なだけだという考えも、もっともだとは思います。検索したら出てきたとはいっても、なにも結婚式の写真まで見なくてもよかったかなとは思いました。
結局のところ、このサイト自体がそんな余計な情報のかたまりのようなものではあります。本当にいいのは、なんの雑音もなく作品そのものを読めることでしょう。それでも、これが多少なりともファンの方の乾きをいやすものになればと思っています。
ファンサイトまで作っておいて何ですが、SFというジャンルで好きな作家はと聞かれたら、僕が筆頭にあげるのはR・A・ラファティ、ブルース・スターリング、ジョン・ヴァーリイといったあたりになると思います。凝縮されたアイディア、というのが3者に共通する魅力でしょうか。ラファティとヴァーリイにはある種の猥雑さへの傾倒があり、ヴァーリイとスターリングは解き放たれたテクノロジーの暴走をとことん追求する姿勢で共通しており、ラファティとスターリングには、えーと、ラフな描線でユーモラスに描かれる人物の魅力という共通項があるように思いますが、そんな風に比べてみてどうなるというものでもないですね。
それに対して、僕にとってのウォマックの魅力は、まずは人物描写の深さとか、アフォリズムや比喩表現の美しさとか、そういう文芸寄り(というか何というか)な部分にあって、SFとしての魅力はその次にくるもののようです。
もちろん、SFとして見ても魅力的だと思います。自分にとってのSFの大きな魅力の一つは、フィクションとしての操作が物語の土台をなす世界にまで及んでいる、という点なのですが、そういう意味で、ウォマックの諸長編はどれもすぐれてSF的だと思えるのです。