*随所にネタバレがありますのでご注意ください。
私的2000年度ベストテン<邦画>
次点 ホワイトアウト
私的2000年度ベストテン<洋画>
次点 あの子を探して
さすらいのメディアジャンキーYADA、本日のおやつは何と「狗神」「弟切草」の二本立。すごい博打だが、毎月第一水曜日の俺に怖い物などない(映画サービスデーだから)。
結論からいうと別にっていう感じだったが、意外にも俺を救ったのは弟切草の方であった。
狗神はホラーでも何でもなく、何とも邦画臭い因習もの。「湯殿山麓呪い村」かよ!とつっこみ、「KAMIKAZE TAXY」「バウンスkoギャルズ」「金融腐蝕列島・呪縛」と絶好調の原田真人も結局やりたかったのはこれかとかなり不機嫌。
対して弟切草もまあ、和製ホラーだからなんか気持ち悪い怨念みたいなのは出てくるとはいえ、知らない監督の、とにかく映像だけはという青臭い心根に1000円あげてもいいかなと。
しかし最近はホラー多すぎで全然フォローできない。あの中に宝が潜んでいるのではないか?「学校の怪談」シリーズ、「富江」あたりが気になる…サイコ・サスペンスだけど「39」とか。そう富江といえば近ごろ菅野美穂はすごい!「2001年のおとこ運」の彼女は天才としかいいようがない。もっと観てほしいのだが…ああ脱線した。だめ男の旅は続く。
ロシアの大河ドラマ「シベリアの理髪師」はとてもよかったけど、キネマ旬報のベストを確認したら29位だった。
巨匠ニキータ・ミハルコフ作品とはいえ、これだけ起承転結のはっきりした話だと、逆に評価されないらしい。しかしこのスケール感と風格、そして分かりやすさはまさに陳凱歌の「覇王別姫」に近いもんがあるんじゃないですか! え!?
まあ、革命やらえん罪やら結ばれない二人やら絵に描いたようなドラマ展開、ちっとも深い意味のない題名など、映画マニアにシカトされる要素も満載なんだが、ミハルコフは黒澤みたいに迷いがなく、素直な視線で観ればはっきりいってものすごく面白い。こういうのが嫌いなひとって、いかがなもの!?
やでぃー
おわび 今回はマニアックにしか語れず反省。
飯田橋ギンレイホールの路線転換、新文芸坐の設立などのおかげで急増した邦画の再映。
特に後者は都内トップクラスの映画館であるからはっきり言って封切を見送った方が断然お得。デフレの極み! 映画界のダイソーアオヤマもとい、ユニクロといえる。
そんな新文芸坐が僕のために用意したのは「ラブ&ポップ」「バウンスkoGALS」のコギャル二本立て!1800円ならごめんだが二本で1000円(会員料金)なら行くに決まってる好企画。
世間の評判は「バウンス」に集中だったけど、「ラブ」はほら、えばんげりおんのひとだから何かすごいかも知れず、まったく予断を許さなかったが、結果は激戦の末「バウンス」の貫禄勝ち。
というよりも「バウンス」良かったから。佐藤康恵の女子高生がきれいでなく不細工でなく、ソバカスだらけで現実味の権化。さらに佐藤仁美の落ち着き払ったボスギャルぶりや矢沢心のもろギャルっぽさが、コギャル感ゼロの岡元夕紀子を引き立てて絶妙のバランス。てゆうかかわいい岡元夕紀子!と、すばらしいキャスティングを武器に、社会派、あるいは際物ではない、普通にいい青春映画が出来上がっていた。役所広司も出てたし、誰にでも勧められる一本。
逆に、時代の風にどっぷり身をゆだねたのが「ラブ&ポップ」で、仲間由紀恵がチョベリ何とか〜みたいなことを口にするなど、数年後別の楽しみ方が期待できるシーンが満載。僕らの326ばりに心に響く言葉とテロップ、無闇に斬新な映像が続き、「あ〜エヴァンゲリオンもこんな感じかな〜」と思わず心配。ただ渡辺いっけい、手塚とおるなどのキャストは文句ないし、デジタルカメラを駆使した自由な画作りも実際新しく、面白い作品には違いないんだが、この監督、太く短いんだろうなあーというのが正直な感想。あと、女子高生をひたすら下から撮り続けるのは素直すぎる。アニメの人が実写をやると結局アニメっぽいとゆうか、欲望があらわになるのはよくあることで。
しかし、近頃はみんな美少女を撮るのがうまくなったなあーとはつくづく感じた。昔は大林宜彦か相米慎二しかいなかったんだが。
…こうして少女たちの名勝負を見届けた僕は満足げに池袋・風俗街をあとにした。新文芸坐万歳。デフレ万歳。だがそんな彼の背後には「サンデイドライブ」「HYSTERIC」組、「金髪の草原」「独立少年合唱団」組、「ペイ・フォワード」「ダンサー・イン・ザ・ダーク」組の魔手が迫っていたのである…。
(「ぼくの文芸坐物語」つづく)
舌の根も乾かぬうちにものすごいでかい封切館に行ってしまったメディアジャンキーYADA。でも心配ご無用! 水曜一律1000円のテアトル銀座だから。びっくりした?
そうはいっても場違いな名門館に俺が挑んだのはまぎれもない事実。ブルジョワ都市・銀座に何があるとゆうのか?
答え。
そこに「2001年宇宙の旅」があった。
昨日ビデオで「第三の男」も経験した俺。名作詣での旅に箔を付ける魂胆から寝不足のバイト上がり、リポビタンDライト持参での挑戦となったわけで。でも今更知ってるでしょ、「2001年」のストーリーくらい誰でも。俺もはるか昔TVで観たし、まあいわゆる「かつての衝撃作」かもね、みたいな気分で臨んだんだが…
この天才野郎!
今時の作品と比べて何も負けてない大傑作だった。特に印象的だったのは音のメリハリ。あまりに無音状態が頻繁だが寝たら負け。エンターテインメントを考えれば普通はもうちょっと説明するところを、スタンリー・キューブリックは「黙って観ろ」とふんぞり反る。また映像にもゆるみの無いのが憎らしく、これじゃあ黒澤明が「スターウォーズ」の音楽にケチつけるのも仕方ないよ、と納得の緊張感。実際、相当の自信がないと不可能な力技で、作家がわがままでないとこんなもん作れない。こんだけぶっ通し「私は天才である。お前たちに分からない物を作った」と唱えられ続けりゃ、観客はもう従うしかないし。公開当時は賛否両論って、これを昭和44年の人間に見せるなんてそんな馬鹿な!さぞかし狐につままれたろうと思わず老婆心。今思えば、TVで観たのはストーリー上無用な部分をカットした短縮版だったに違いなく、これをブラウン管で観るのはまったくのトンチキ。でかいスクリーンで、完璧な音響で受け止めねばならぬ。
俺は終了後立ち上がれず、明日の見出しはイチローの4安打でなく「YADA無念 (上京後初)パンフレット購入 引退も」に決定する始末。それほどの出来栄え。キューブリックに栄光あれ。死んだけど。
「ウーマン・オン・トップ」にはとても悪いことをした。
併映の「楽園をください」(ひどい邦題)に比べたら全然つまらなそうと思ったから。
だってー、「楽園をください」って、「グリーン・ディスティニー」のアン・リー監督が、南北戦争期に南部ゲリラとなった若者たちのはかない青春を描くんだぜ!それは観たいですよ。で、トビー・マグワイアがほんとに嫌味なくて、実際面白かったんだけど、期待してなかったぶん「ウーマン〜」の良さにやられた感じ。
ストーリー。ダンナが浮気したのでアメリカへ渡ったラテン美女がTVの人気者に。
観たいですか? 観たくない。まあ、そんな馬鹿な! と言わざるを得ないサクセス・ストーリーだが、それを飾り立てるのが輪を掛けた奇天烈な描写で、結果、こじんまりと現実離れした楽しい映画となっていた。
中でも、歌自慢のダンナについてくるギタリストの人たちが意味無くていい。「メリーに首ったけ」や「リトルショップ・オブ・ホラーズ」と同じ仕掛けとはいえ、ぼくはこうゆう細部の遊び心が非常に好きなのです。偶然性や作りごとに説得力を持たせて、うまいことハッピー・エンドへ持っていくのが正しいハリウッド的娯楽のあり方なので、「スプラッシュ」や「素晴らしき哉、人生!」などに比べれば完成度は低いとしても、これぞ大人が楽しむロマンティック・コメディの王道と言えるでしょう。逆に子供にこの良さは分からないかもしれぬ。「オール・アバウト・マイ・マザー」に続いてオカマと仲良しのベネロペ・クルスも、Hな仲間由紀恵みたいで良かったし。それも見どころ。
速報:「まぶだち」面白かったですよ。一本筋の通った青春映画で。「題名で損してる!」て書いときました。観て損はないです。
今日の掘り出し物:「ハウスシッター結婚願望」ビデオにて
だれも話題にしているのを聞いたことがないが、隠れた大傑作「リトルショップ・オブ・ホラーズ」と同じく、監督フランク・オズ、出演スティーブ・マーティンなので観た。
ああフランク。またしても貴方はかくのごとく愛すべき物語を紡ぎだしたのね。
うそにうそを積み重ねて大混乱ということでは、オズ=マーティンコンビの代表作「ペテン師と詐欺師 だまされてリビエラ」に似ている。しかし、こっちには史上最強のコメディエンヌ、ゴールディ・ホーンがついているじゃあないか!
ゴールディ・ホーンはいい。長短兼ね備えた完璧さがあるから。
よって本作品は「サボテン・ブラザーズ」と並ぶマーティン主演作の最高峰に認定されました。ぼくの知る限りフランク・オズには外れがなく、「リトル・ショップ〜」や「ダーククリスタル」みたいな人形ものもいいが、むしろ衰退したハリウッド・コメディの継承者として認めていいのではと思う。
そういうわけでオズ監督も「もっとも過小評価されている監督」と呼ばれることになりました。ティム・バートンと同じくらい才能あるでしょう。「イン&アウト」早く観ないとなあ〜。
せっかく林さん(註:HEGEのキーオ林氏とは別人です)が「ダンサー・イン・ザ・ダーク」に感動していたので今回、彼には送信いたしません。
ラース・フォン・トリアー変わってねー! とゆうよりも、エスカレートしてるー!
こんな悲惨な映画はじめて観た。どれくらい悲惨かとゆうと、「火垂るの墓」の50倍悲惨。
ミュージカルの美名に心ひかれ、善良な市民が劇場に押し寄せたのに、まったくひどい。いや、トリアーとしては、「過酷な現実に楽しい妄想、しかもミュージカルを対比させて、これは面白い!なおかつ伴奏は日常の音のみで構成?わー俺って天才!」と素直に喜んだに相違ないので、真にひどいのはマスコミらか。ぼくの見たところ、衝撃のラストシーンもトリアー的には単なる「グッド・アイデア」に過ぎず、彼の興味は目立つとか、人をびっくりさせることにしか向いてないように思える。
(1)異邦人 (2)自己犠牲 (3)人間不信 のトリアー三大要素もふんだんに盛り込まれ、結果、人々がこの映画をトラウマとして生きてゆくことは確実なんだが、その点林さんは強いなあ〜。俺考え過ぎかなあ〜。でも林さんの唱える「ビョークすごすぎ」説には大賛成。ビョークのために「ダンサー・イン・ザ・ダーク」はあると言える。彼女のせいでより悲惨になったのも確かだが、あの不吉かつ不安定なたたずまいだけでも神業。菅野美穂ですらあの演技ができるかどうか。私情。
まったく、とてつもなく挑発的な映画を作ったもんで、ぼくの心にもしっかりと刻印されてしまいました。デヴィッド・リンチにとっての「ストレイト・ストーリー」みたいなもんだと思ったら大間違い。トリアー圧勝。もう、まいったまいった。林さん強いなあ〜。
今回観てきたのはですね、「DISTANCE」てゆうんですけど、真理の方舟(と、ゆうかオ●ム真理教)による水道水への細菌混入事件(と、ゆうか地下鉄サ●ン事件)実行犯の遺族たちが年一回集まるってゆう話で。浅野忠信とか寺島進がバリバリメインの、インディーズ魂な感じでした。
浅野忠信
永瀬正敏
大杉蓮
寺島進
哀川翔
西田尚美
遠藤憲一
北村一輝
岸辺一徳
石橋凌
國村隼
斉藤陽一郎
村上淳
田口トモロヲ
鶴見辰吾
利重剛
麿赤兒
洞口依子
光石研
香川照之
木下ほうか
塚本晋也
麻生久美子
唐突ですが、今、つれづれなるままに決定したインディーズ業界のグレーテスト23クラブです。二人出てたらメジャー・インディーズって何でしょうね、それ。本作品には遠藤憲一も出てました。で監督も知る人ぞ知る是枝裕和でして、江角マキコの「幻の光」とかの人。
やり方次第でいかようにもドラマチックになる題材だが、作品のタッチとしてはBGMすらない、ドキュメンタリー風とゆうところだったです。何かぼそぼそ喋ってました。ときどきこうゆうスタイルの映画が斬新っぽく登場しますが、ひと昔前のフランス辺りでよくやった手法でして、別に珍しくはない。この話のひと味違うところは、そうやって淡々と進んどいて、なんと! という裏の事実にあるんですが、この終わり方、どっかで見たことあるぞと思いつつ、分かった「市民ケーン」だ! と喜んでしまう僕も困ったものですよ。いや、でも狙ってたかどうかは知らんけど、ほんとに似てたので。こうやって映画史は回り続けるのだなあと解決。ひと安心。こうゆうドキュメンタリータッチとドラマチックの食い合わせってのはものすごく難しい課題なんですけれども、そんなに違和感なく撮れたんじゃないですかね。
ああ、僕が言いたいのは役者陣が素晴らしかったってことでした。浅野忠信の軽さはゆうに及ばず、りょうがすごい! 線の細い感じが。浅野忠信をにらむあの目つきは「泥の川」の加賀まりこに並ぶ恐ろしさですよ。
とまあ、明るい話になりづらいこんな映画ですが、しみったれた気色悪い感じはないので、ほんのり暗く打ち沈みたいひとは観てください。今回はほんと、つれづれなる文面ですな。
すごい! すごいよ「ELECTRIC DRAGON 80000V」!!
無闇なテンションの予告編に共鳴し、まんまと渋谷へ足をむけた(ビビるの大木に出会ったりしながら)ぼくだったが、本編もまったく同じテンション、木戸銭を払うだけの価値は十分あった! 映画サービスデイだけど!!!!
だってさ聞いてくれ、モノクロの雑踏に浅野忠信登場、「電気に感応し!」「爬虫類と心を通わせる男!」「竜眼寺!」「盛尊(もりそん)!」なるナレーションにあわせ、無声映画風に「電気に感応し」「爬虫類と心を通わせる男」「竜眼寺盛尊」てテロップが、これ以上ないほど汚く書きなぐった字体で、しかもうねうねうごめきながらめくるめくんだぜ。永瀬正敏も「挑戦者登場」の文字とともに「電器を修理し、怪電波をキャッチする男、雷電仏像」として登場、白昼堂々、キカイダーみたく顔半分が黄金色の仏像とゆう原因不明な姿で彼なりの正義活動に汗を流しつつも、それはそれとして浅野忠信の善良な日々を執拗に妨害、「俺を」「怒らせるな」のテロップに合わせ「俺を怒らせるな!」と激昂する浅野=竜眼寺盛尊! ってここまで言っても揺らがないならいいよ別に観なくても! いいよ。
でもねナレーションが船木誠勝でね、つまり石井聰互監督の前作「GOJOE五條霊戦記」と同じトリオ。あん時の船木はまあ、大根とは言わないが一本調子で技巧に乏しい、つまり大根だったわけだけど、そんな力任せの語り口が今回の作風には完璧に作用、頭いいぞ石井ちゃん! 石井聰互ってたしか40代だったと思うんだが、何なんでしょうねこの元気のよさは。塚本晋也、石井克人、SABU、三池崇史何するものぞ! 俺様こそ元祖・破壊王でい! とゆうベテランの気概でしょうか。才能だけでも、まして体力だけでも撮れないですよこの話は。
はっきり言って変な映画には違いない。それゆえに無理して笑おうとする人々が劇場に少なくなかったが本当に嫌い。<お>バカ映画って下品な言葉! 分かってない! スクリーン向こうから、ここをこう! こう! そしてこうやって! こうなんだよ! こうすれば! かっこいい! だろうが!! とがなる監督のきちがい振りに戦慄し、真っ正面からぶん殴られればいいんです。それは「紅の豚」と対極のかっこよさではあるけれども。ちなみに、ぼくが現在、一番観たい映画は、どこをどう考えても「ドリヴン」。七面倒臭いのはいらないや。
やでぃー
キャスティング。
配役というものについてあれこれ考えることは非常に楽しいことです。いや「15ミニッツ」の話です。
ロバート・デ・ニーロが途中で死んでしまうのは、それでいいんでしょうか? 雑誌の表紙になるほど有名な敏腕刑事。最もおいしいと言っても過言でない、デ・ニーロ大喜びの役どころだとゆうのは分かるが、「デ・ニーロ死ぬわけねーじゃん」との思い込みから逃れられぬ俺は、完全に展開を読み違えてしまいました。
しかも、奴がいなくなると突如として作品に華がなくなり、俗に言う「渡部篤郎現象」(「北条時宗」のこと。あっちは死んでなかった! ことになったけど)が発生し混乱は深まる一方。別に死んでもいいが、主役にはワンランク落ちる演技派スター(ラッセル・クロウ、ジョニー・デップ、デンゼル・ワシントン、ユアン・マクレガー)を配するか、敏腕刑事を知名度のあるベテラン俳優(ニック・ノルティ、ハーヴェイ・カイテル、マイケル・キートン、ショーン・ペン)に任した方が、俺が助かったのではないでしょうか。デ・ニーロの存在感にだまされなければ、とても面白い社会派サスペンス・アクションなので、皆様のためを思い、親切にもこうして筋をぶっちゃけてるわけですけども。劇場型犯罪とゆう題材を「スネーク・アイズ」より上手に消化してたし。
そんなことを言いつつ、悪役のばかな方どっかで見たことあるぞと思っていると、役柄は異邦人! うっかり出るロシア語! うわあオレッグ・”ザ・ラシアン・ベアー”・タクタロフじゃあないか! 元アルティメット・チャンピオンが試合もせず俳優志望とゆう風の噂は俺にしたら転落の歴史としか見えなかったのだが、演技うめー!アクションなしで映画のコミカル部分を一手に背負い、なおかつ作品のテーマを最も体現する男として、デ・ニーロをはるかにしのぐ存在価値がある。ごめんオレッグ。こうなったら、近いうちにスティーブン・セガールと物凄くレベルの高い格闘シーンを演じ(当然KGB役)、行く末は史上初の組み技系アクション・スターになってください。まったく、キャスティングの世界は余りに奥深いですな。
p.s.ジェロム・レ・バンナを「バンナ」と呼ぶのはやめろ! デ・ニーロで思いだした。
やでぃー
今日の期待はずれ「ビヨンド・ザ・マット」
ドキュメンタリー好きの僕の眼に飛び込んだ惹句「リングの外に、台本はない。」
かっこいー! ショウビジネスの魔王ビンス・マクマホン・Jr.が大君臨、むくつけきレスラーどもを札束でひっぱたき!野郎たちが肉体をかたに金と名声をわし掴み高笑い!わがままレスラーはシュート野郎が半殺し! 再起不能! ひょう血が騒ぐぜい! 色と金の世の中だぜい!
と思ったら、ちがった。
テリー・ファンクやカクタス・ジャックって、普段はよき夫であり父親なんだって。反対にジェイク・ロバーツは愛娘に愛情表現できないらしいよ。プロレスラーも、ひとりの人間なんだね。
てそんな事分かってるっつーの! 等身大の人間ドラマなんぞどこでも観れるじゃないの。レスラーのレスラーたる由縁を見せびらかし、ビンスの狂ったビジネス哲学を世間のやつらに叩き付ける絶好のチャンスだったってゆうのに、WWFは大満足、レスラーたちも自尊心が守られひと安心、これじゃあNHKスペシャルレベルのヒューマン・ドキュメンタリーですよ。試合に脚本があるってのを暴露したのはよかったけれど、結局なんとも過保護な映画に落ち着いちまった、ねえ。映画を信じてないですよ。
まあ実際、作者も映画よりプロレスのほうが好きみたいだから仕方ないと言やあ仕方ないが、プロレスの凄さ、深さは全然あんなもんじゃないし。題材の使い道が違っている。WWFの恐るべき世界戦略! 邪魔するものをぶっ潰す素晴らしい経営手腕! ビンスへの呪詛を吐き続けるバーン・ガニアやダニー・ホッジ、ザ・シーク! それでも喜々と修羅道を行き、神のごとく振る舞う男、ビンス・マクマホン・Jr.! あー観てー! そんな鬼みてーな映画がよー!
やでぃー
文芸坐反対!
何が反対かというと、ロードショー公開に手を出し始めたからです。
バガヤロ「ダンボールハウスガール」とか言ってんじゃないよ、「野獣死すべし(仲代達矢版)」と「黄線地帯(イエローライン)」やってくれってんだ! 単なるミニシアターになってどうしようってんでしょうね。 ところが捨てる神あれば(以下略)。三茶にそびえ立つ鉄の城、三軒茶屋中央劇場のラインナップが俄かに活気を帯びてきたのであった!
本年度見逃しランク上位の「ココニイルコト」に「LOVESONG」がついてくるってんだから最高。尾崎豊のナンバーをフィーチャーしまくった企画物「LOVE」はともかく、「ココニ」は何やら絶賛されてたし、真中瞳の「ニュースステーション」では伺えない魅力に触れてみたいでしょ?…あ、そう。そういえば僕もそんなに。ともかく作品への期待は膨らむ一方ですよ。そして、満を持して赴いた月曜日。
結果発表! ありゃ? 「LOVE SONG」圧勝。おどろいた。いや、しかし、これはいいよ。だって「尾崎」って言葉が確実に一回しか出てなかったし。まあ尾崎のレコードが小道具として重要だけれど。しかも、正直に白状するが、ラブ・ストーリーですらなかった! 苦い青春の傷にしっかり救いもあって、企画はこう裏切れ! ひょう! ざまあみろい! とひとり喝采をおくる僕がそこにいたのでした。よくある自分捜し映画と言ってしまえば言えるが、この完成度の前には、仲間由紀恵が終始高校生役の違和感なんてどうでもいいことです。
いや「ココニイルコト」もいいですよ、とっても。でも予定調和の割に偶然が多すぎたかな、と。同じく自分捜しで勝負してきたが、相手が悪かった。真中ちゃん頑張ってたけど、脚本のレベルが違ったですね。 「LOVE」の監督・脚本は佐藤信介って人。誇り高きプロフェッショナルだったな。えっ新人!? 全くあなどれねー。と、このように、先入観にとらわれると、思わぬ快作を見逃す危機に見舞われます。要注意。
ちなみに中央劇場、今後の予定は「青の瞬間」+「天国から来た男たち」、さらに「東京マリーゴールド」+「カルテット」。素晴らしい! 本当にどうしたってゆうの。しかし、ま、気紛れだとは思ってるんですけどね実は。しょせん三茶だから。へへ。