[ Realware ]

by Rudy Rucker
「リアルウェア」 by ルーディ・ラッカー

 ルーディ・ラッカーの「ウェア・シリーズ」第四作、これでひとまずのシリーズ完結。
 かわいいです。いろんな意味で。
 逃れようもない加齢の呪いを受けて、かつての不良オヤジもニコニコしたおじいちゃんに変貌しつつあるのでしょうか。それとも、年頃の娘さんの目が本格的に気になりだしたのでしょうか。「なに日和ってんだよ」という罵声が聞こえてきそうなほのぼの具合とお行儀のよさ(あくまで当人比)、これはこれで個人的には好きです。かわいいです。
 前作の数ヶ月後から物語は始まります。前作の登場人物たちもたくさん再登場するほか、チーズ臭いことでお馴染みのカビ&生体プラスティックの人工生命モールディたちはもちろん、そのモールディにとりついて前作で色んな騒ぎをやらかした高次元の知性体がまた大挙して登場、これら人外のキャラクターたちが本当にかわいい。劇中いたるところでぐにょんぐにょん動いてぴこぴこ跳ねます。リアル・バーバパパというか、ジャパニメーションに汚染される前の古きよき米国アニメの世界というか。かわいさの描写に作者がちょっと意識的でありすぎるようで、やはり身内の目を気にしているのだろうかと邪推せずにはいられません。コッブ爺さんもモールディの体をもらって復活し、ぐにょぐにょびょんびょんしながらおじいちゃんらしいわがままを言って周囲を困らせたり、ほほえましさの増量に一役買っています。
 通信衛星のアルバイトで生計を立てているキャッピイ・ジェーンというキャラクターが個人的に大好きです。グレックスと呼ばれるモールディの集合体で、円盤型の胴体の周囲にぐるりと24個の鳥の頭がついているんですが、これが焼く前のピザみたいにぐにゃぐにゃしながらイオンジェットを噴かして飛んできて、24個のトリ頭が勝手にそれぞれピーピーガーガーさえずりまわるという、もうどうにもたまらん可愛らしさ。このキャラクターだけ使って映画を作ってほしいです。
キャッピイ・ジェーンの想像図


 ランディ・カール・タッカーもまた登場、ときどき谷岡ヤスジのマンガのような喋り方をします。いや本当に。「××だっつってっだよォーーーー!!アーーー??」みたいな。でっかい歯に魚のホネがはさまってブランブランする感じで。なにか前作よりもひどくなってるような気がしました。
ランディ・カール・タッカーの想像図


 個人的に「ラッカーだなあ」とニヤニヤしてしまったくだりがこれ。酒場で脳に栄養をくれてやってる人々の描写。

 高次元の知性体、無限ネタ、「すべては一つ」と、ラッカー作品の集大成といった趣。「家族の絆」がテーマだった前作に続いて、今回は「父と子の絆」がテーマの一つになっています。
 前作のなんだかバタバタした終わり方が不満だった人も、満足できる展開なんじゃないでしょうか。邦訳が出るのが楽しみです。



(20030910)
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